1981年の印象深い出来事パート2
30年も前の記憶を思い出しながら書いたのですが、あの頃の忘年会は毎年あんな状態ですので、若干前後している可能性があります。ブログを見たY君とかS君が、この事は次の年だったとかそれより前の年だったとか思うかもわかりませんが、間違っていたからって地球がひっくり返る様な事でもないので、ご容赦願います。
さあこれで当分ブログをサボろうと思い朝出社すると、私が退社した後置いたのであろう昔の写真がどっさりと積んであるではないか。
誰が私の机に置いたんだ。出したらきちんと戻しておけとブツブツ言いながら隣の机に置いて席を離れ、工場と打合せをすませた後席に戻るとまた写真が置いてあるので、これは続けて書けと言う無言の圧力かな?と思い、写真を見ながら当時の記憶を手繰り寄せ書きます。
前回ブログの忘年会を書いた年は1981年で、その年の耐久レースはワインガードナー選手がコースレコードを樹立した年でした。
モリワキのホームページを見ている人達は充分知っている人達ですから、あまり詳しいレースレポートみたいなことは書きません。しかし、私が現場で見て感じたことを書きます。6月のスズカ200kmロードレースには、今回8H耐久レースを戦うワインガードナーとジョンペイスがエントリーし、結果は左足首を骨折していたワインガードナーが優勝。ジョンペイスは3位と順調なすべりだしをしたわけですが、未だ安心は出来なかった。敵はヨシムラのクロスビーとクーリーが、最大のライバルになると予測していた。
耐久ウイークに入り、段々緊張が高まりつつもメカニック達は淡々と作業をこなしています。そんな中、オーストラリアからガードナーとペイスの応援ツアーで、総勢20名余りが鈴鹿に到着しました。モリワキとしては、せっかく来た応援団を鈴鹿だけではなく少しでも日本という国を知ってもらいたいと、京都見学に連れて行く事にしました。行く前に一番何がしたい?と聞くと、座禅を体験したいと言うリクエストが圧倒的だったので、知人の坊さんに紹介していただき、京都に向かいました。
当たり障りの無い見学コースを順調に消化して行き、午後1時から最大のイベント、座禅の開始です。皆さん初めての体験で興奮し、さらに座禅を組むことが出来ず、一瞬騒がしくしてしまった。 すると、本来苦しい修行を積み重ね悟りを開いているはずの坊さんは、仏門に入った方とは思えないくらいぶち切れて、出て行けと怒りまくり退場させられました。
その時の坊さんはただ気の短い普通のおじさんみたいだった。やはり苦行を積んでも腹は立つんだと、その時私の方が坊さんより先に悟りました。でも相手は異国から少しでも日本の文化伝統に触れようと来た人達ではないですか?始めから規則も何も解らない人達を迎え入れる事を許可したのだから、もっと御仏の心で望んで欲しかったね。
私はせっかくの観光に水を差されたような気分になったが、外人さんは禅を体験したごとく無我になり、日帰り観光を楽しんでいた。
夕方会社に戻ると今日の走行が終わり、明日の走行準備の為皆忙しく働いていました。
バーベキューの用意が出来たとマイクで放送されると、何処からとも無くゾロゾロと皆さん集まって来ましたが、おや?我がモリワキスタッフは何処にいるのかわからない。そのくらい多くの人が集まって来ています。最後の焼きそばが全員に行き渡った頃クロスビーが私の所に来て、ライダー全員飲みに行くからと言い残し、未だ会話を楽しんでいる集団の中に入っていきました。
その夜、外人で貸しきり状態になったスナックでは野球拳が始まり、殆んど全裸に近い状態になってしまったのが、優勝候補の○×選手だった。
殆んどの有力ライダーが参加した宴会も終わり、次の日は練習です。
朝若干寝不足気味のライダー達だが、練習が始まるとさすが皆プロライダーだけあり順調にタイムを上げています。
その中にあって、モリワキとヨシムラの仕上がり状態は絶好調です。
POP吉村さんも、ガードナーやクーリーと談笑したり、社長と南海子マネージャーも余裕で昔からの友人に冗談を言い合うなど、両監督は笑みが絶えません。
さあ、いよいよ明日は予選だ。当然その夕方も皆でバーベキューを楽しんだ後、昨晩のメンバーは全員夜の街へ繰り出していきました。
明けて予選当日、夜の顔とは全く違う勝負師の顔つきになったライダー達は、次々とピットロードを出て行きました。我がチームはゼッケン15番のロジャーマーシャルがピットを出て行くと、後を追うように同じレーシングスーツに身を包んだゼッケン14番のガードナーが出て行きました。
その日の私は、ピットロードでタイム計測をしていました。
同じ間隔で何周回っただろうか?あれ?最終コーナーを出てくる時のエンジン音が違う。
おかしい?目を凝らして見ると、ゼッケン15番ではなく、14番と見えるではないか。慌ててストップウォッチを押し、計測タイムを見ると14秒76とある。自信が無くなり、ピットの上で見ている社長を見やると、そのタイムは間違っていないよ。それとこの周でピットに入れるように。と目だけで会話をしました。
隣のヨシムラピットに情報が伝わると、クロスビーは普段全く見せた事が無い程厳しい表情になり、本能的に湧き上がって来る闘争心を押さえることもせず、真っ赤に染まった顔を白いヘルメットで覆うと飛び出すようにピットを出て行きました。ガードナーは、もしクロスビーが自分のタイムを更新するようなら、僕はもう一度走ると言って、すでにヘルメットを手にしています。
さあ計測が始まりました。ピットの上では社長がタイム計測しています。
区間タイムはガードナーを上回っている。私達はやられたと思いました。
しかしもう余り時間が無い。でもガードナーは再び出て行く準備をしている。
クロスビーはガードナーのタイムを更新しながら逆バンクを通過し、ダンロップブリッジの上がりきったところに差し掛かると、突然リヤタイヤがスライドして大きくタイムロスをしてしまい、万事休す。ガードナーはピットを出ることなく、安堵の表情でヘルメットを脱ぎました。
ピットに戻ってきた社長はガードナーとガッチリ固い握手を交わすと、二人の目から自然に涙があふれ出ていた。
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