黄金時代の到来 パートⅥ
サーキットに来てもクロスビーが何処にいるのかわからない。
ピットを歩いていると、日本人メカニックのF君が一生懸命マシン整備をしていたのでクロスビーの居場所を聞いたが、忙しさのあまり丁寧に答えてくれなかった。恨みに思った私は、日本に帰って来たF君と酒を飲むたび厭味を言っていじめました。ホンダNR500で出場している片山選手に聞き、やっとクロスビーに会うことが出来、一安心です。その夜からクロスビーのモーターホームで久しぶりにぐっすり眠りました。さあやっとGP見学が出来るわけですが、入場券とかパドックパスとか何もありません。しかしやはりいい加減なクロスビーですから、自分の首からかけていたライダーパスを私に渡し、これを使えと言いました。
私は不安ながらもそのパスであちこち行き、色々なゲートでクロスビーの写真入りパスを提示しても明らかに本人とは違うのにも関わらず、何処へでも通してくれました。レースはケニーロバーツが優勝、2位はスズキのウンチーニ、3位クロスビーで、ヤマハの1着3着でした。その夜、マルボーロチームスタッフとレストランで食事をした後、私は眠りにつきました。しかしクロスビーは何時ものように夜遅くまで大暴れをしたのですが、ワインを飲みすぎた為か次の日は二日酔いで、とても運転出来る状態では有りません。奥さんのブレンダと相談の結果、私がトランスポーターを運転しイギリスに戻ることになりました。
一方その頃、イギリスに居残っているS君のもとへ、会社から急きょ日本に戻るようテレックスが届いたのですが、問題はすでに戻ってきているはずの私から何の連絡も無い為、すぐ日本に戻れないと焦ったS君は、「会社に原さんフランスで行方不明。いまだ連絡無し。」とテレックスを打ったらしいが、その頃すでにロンドンにおり、クロスビーの古巣・スズキUKに居ました。S君に心配かけてはいけないと思い、スズキUKのスタッフに「私は今スズキUKに居るから心配しないようにと連絡して下さい」と言ったら、気持ちよく引き受けてくれたので安心していました。しかし、忘れられたのか?通じなかったのか?私からの連絡が途絶えているS君は、ついに一人で帰国する決意をして、私が戻ったらこのチケットを渡すよう指示し、空港に向かう準備をしていました。たっぷりロンドン見学をした私はS君の仕事場に戻るとすでにホテルは引き払ったらしく、事務所に私の荷物と置き手紙がありました。
S君の手紙で全て現状を理解した私は、すでにS君は空港に向かっていると解釈し、ヒースロー空港まで1時間は走らなければならない、とても間に合わない、と焦っていると、帰国の準備を終えたS君が両手に荷物を持って歩いて来ました。
私の顔を見たS君は、文句を言う事もなく笑顔でむかえてくれました。二人はスタッフの運転する車に乗り込み一路空港に向かったのですが、ヒースローではなくもっと近い別の空港でした。
1ヶ月ぶりで日本に戻り、帰国命令が出た理由を聞き、次の日社長と私はその理由であるプロジェクトの説明を聞くため、また悪夢の新幹線に乗らなければならないのですが、前科がある私達のため事前に用意されていた切符は、グリーン車ではなく当然一般の指定席券でした。
帰国してから私は一ヶ月間の穴を埋める為、一生懸命働き、大いに遊びました。
その年の6月、社長と私は月刊プレイボーイ取材の為、モリワキMONSTERをハイエースに積み込み、取材場所である筑波サーキットへ向かいました。
撮影現場のカメラマンは何時もテレビに出てくる有名なK写真家でした。
撮影は夕方まで続きました。私は月刊プレイボーイ編集担当のM氏(後にモリワキクラブ員となり4時間耐久を走った)と話をしている時、偶然宮城選手の話題になり、「宮城には大変注目している。これから追っていく価値がある。」と熱く語っているM氏を見ながら、もうすでに注目している人達が居ること自体大変興味を持ちました。
さあ、いよいよ4時間耐久レースが迫ってきました。まあエントリー台数の凄い事。1グループ50台で8組~9組くらいあり、予選時間は20分しかない為、後ろに並んでしまったら3周の義務周回数にも満たない状況です。
そんな厳しい環境の中で、アルミフレームを手にしたモリワキレーシングの宮城・福本組は自信満々です。さて、いよいよ予選が始まりました。しかし優勝候補筆頭の宮城選手の乗ったマシンは、エンジン不調でなかなかタイムが上がりません。このままでは予選落ち、という屈辱をあじわうことになりかねない。しかし結果は絶対あってはならない事態にまで追い込まれました。
後は福本選手に託すしかないのだが、肝心のエンジン不調のままで快復の見込みがたたない。すべてを託された福本選手は不調のエンジンをだましながら何とか予選を通過する事が出来た。メカニックはすぐ工場に戻り、エンジンのオーバーホールに取り掛かったが、原因が見つからない。
エンジンベンチでも全く問題が出ない。しかしフレームに乗せると回らなくなる。さて原因は何か?
今年はこれで終わりにします。来年また一生懸命思い出しながら書くからよろしく。
でも私は当時を思い出すため資料とかは一切見ていません。記憶だけです。だから時々おかしい事があるかも。でも許してね。




















































