原chan BLOG / カム研磨機の思い出
2010年12月10日金曜日は、30年近くモリワキエンジニアリングの成長に寄与し
苦楽を共にしてきた”カム研磨機”が再度活躍の場を求めて遠くへお嫁に行きました。
ここ最近、めっきり活躍の場が無くなり、他の最新機械仲間からも忘れ去られ
寂しい思いをしていたのですが、嫁ぎ先が見つかり、復活を目指して旅立って
いきました。あのカム研磨機には、モリワキの歴史と思い出がいっぱい詰まって
います。他の会社に行っても、可愛がってもらうようにしっかり働いてね。
カム研磨機の思い出といえば25年位前のことです。
奈良県出身のO君が入社してきました。配属先は機械加工グループに所属し、
カム研担当になりました。
O君はカム研作業の見習い期間を終え、居眠り出来るくらい余裕が出来た
みたいでした。しかし、居眠りして出来る仕事なんか有る筈がありません。
居眠りしながら作業をしているO君は、いつも先輩に叱られていました。
しかし、すっかりカム研に慣れたO君は、先輩に注意をされた時は大きな目を
しっかり開けているのですが、O君の近くに誰もいなくなると、自然に目を閉じて
しまいます。ある日の午後、事件がおきました。その日の朝、とても重要な
プロトタイプカムを削るように指示されたO君は、緊張して慎重に削り込んで
いきました。作業は順調に進み、2本目3本目と仕上げていくと、徐々に緊張も
解け、いつものリズムを取り戻してきたO君でしたが、昨晩遅くまで遊んでいたのか
いつもの悪い癖が出たのか、つい居眠りしてしまいました。当然のようにカムは
失敗です。O君は「やってしまった。社長と先輩に怒られる。でも素材は未だあるから、
新しく削って誤魔化そう。その前にこのカムを隠さなければ。いつものように古い
カム研磨機の裏側に隠そう」。
O君は、慎重に左右を見て誰もいないことを確認すると、指定の場所にこっそり
カムを隠しました。ホッと息つく暇もなく、突然頭に痛みを感じ、思わず”痛っ”と叫び、
後ろを振り返えると、O君の後ろには何故か社長が立っていたのです。
社長からゲンコツをプレゼントされたO君は、不思議で仕方ありません。
周りに誰もいない事を確認してから隠したはずなのに。なんでだろうか?
実はO君の真後ろに社長が立っていた為、肝心の後ろは振り返らなかったから
わかる筈がありません。社長は、機械の切削音が正常な音と違うので様子を見に
来たところ、O君がやたらキョロキョロして懸命にカムを隠すところまで一部始終
見ていたそうです。その夜、話を聞いた先輩達は、次の日にカム研磨機の裏を
捜索することにしたのですが、何故かカム研を教えた先輩は、捜索に乗り気ではなく、
「時間の無駄だ」とか言って反対していたみたいでしたが、次の日、予定通り古い
カム研磨機の裏を捜索すると、切削オイルを溜めておく場所の中から、失敗した
カムが出てくる出てくる。小判のようにザクザク出てきました。失敗した時、隠すのは
先輩から引継ぎされた訳でもないが、隠し場所は誰も一緒らしく、O君の失敗した
カムより、彼を教育した先輩N君のカムのほうがいっぱい出てきました。
指導したN君は、夕方先輩達が定例宴会を始める前に、ビールとつまみを用意し
先輩の機嫌をとっていました。話し戻ってO君は、社長から「仕事が一人前になるまで
タバコを吸ってはいけない」と止められていましたが、入社前から吸っていたO君は
先輩達が美味しそうに吸っているのを、うらやましそうに見ていました。
休憩の時、一人休憩室を抜け出し、工場の裏手に回り、こっそりタバコを取り出し
火をつけた時、社長と私がO君の方に向かって歩いて来るのを見た瞬間、何処にも
隠す場所がないと判断すると、とっさに火のついたタバコを、パーマのかかった
頭の上に置き、帽子をかぶってひたすら通り過ぎて行くのを待っていました。
普段の社長は、足早に通り過ぎて行くのに、その時に限り社長は立ち止まりカムの
仕上がり状況を聞き始めたのですが、すでにO君の髪の毛は焦げはじめていたから
O君は、答えたくても答えにならず何を言っているのか解りません。
社長は心配して「おっどうした?」と言う間もなく、O君は「アチーアチッチッ」と
叫びながら帽子を取り、髪の毛を手で激しく払っています。そして社長の足元には
火がついたタバコがコロコロと転がってきました。
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